川の室温 |
沈む沈む沈む沈む。
ぼんやりと川のそこに漂って、濁った水を見ている。
魚が僕をつつくので、これでは父さんや母さんや弟に会った時に僕だと分からないので、魚に怒ってみるが、魚は意気揚々と僕をつつく。
ありゃ、ほんとうに僕だとわかんなくなってしまうぞ。
浮かびたいけど僕の身体は浮かばないので、困ったなあと思う。
川はざあざあと水かさを増し、僕の身体はどんどんと川に沈んで行く。
僕の身体は魚につつかれて少し欠け、水を吸ってどんどんふくらんでいく。
早く上がって僕の家族に会えないかなあと思う。
そして僕はまた沈んで行く。ぶくぶく。
僕の身体は浮かんでいって、隣のおじさんや青年会のお兄さんに救われた。
お父さんもお母さんも弟もいて、僕はそれがとても嬉しかったんだけど、みんななぜか泣いていて、僕はそれを見て困ったなあと思う。
僕がちょっと変わってしまったことが悲しいのか。
でも、もっかい会えたので嬉しいのに、どうして父さんも母さんも弟も泣くんだろう。
木の箱に入ってしまうと僕はもう父さんも母さんも弟も見れなくなるので、笑った顔を見たいなあと思ったけど、もう父さんと母さんと弟の笑った顔は見れなかった。
そしてぼくはしょぼんとしながら、火に焼かれていった。
室温と言う戯曲内のたまの散文詩がこんな感じなので書いてみたかった。
明るくダークなものが書きたいなあと思いますが、うまくそんな感じにはならない。
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