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白熊さんと小白熊さん

パソコンの中には、十六匹の小人さんがいると、なすびさんが言ってました。
 じゃあ、白熊さんのパソコンの中には、十六匹の小白熊さんがいるのかな、と白熊さんは肉球のついた手で頭をぷにぷにしていました。
 どうして白熊さんがそう思うのかというと、パソコンを使ったまま寝てしまうと、なぜか謎のフォルダができていて、その中には、不思議なファイルとフォルダに小さな肉球の跡があるからです。
 そのファイルは大体、肌の色が青になっているフォトショップデータや、シナリオが書かれているエクセルデータのように、致命的に何かが間違っているデータが入っているのですから、途方にくれて白熊さんは何も言いようがありません。
 でも、小白熊さんはパソコンの中で、いつも白熊さんの無茶要求を聞いてくれています。だから、時折変なデータを作るくらいいか、と思いました。そして、長い爪のついた手でパソコン本体を触って、小白熊さんが頑張ってくれるようにと祈っていました。
 なすびさんは時折こうもいいます。小白熊さんは、毛の生えた手と肉球で作業してるから、長い間作業していると、毛はこげて、肉球は熱くなってしまうだよ、だから時折は休ませてあげようねと。
 でも、やっぱり切羽詰ると、長い間作業しなければならなくなります。パソコンは熱くなってきます。小白熊さんは、多分パソコンの中で必死に作業をしています。時折線を繋ぐのを間違えたりもするでしょう。データを消したりもするでしょう。
 忙しいときは、怒りっぽい白熊さんは、さらに沸点が低くなります。でも、パソコンの中で頑張ってる小白熊さんがいます。なるべく怒らないように、白熊さんはパソコンの中にいる小白熊さんに、頑張ってと声をかけるのです。
 その一瞬後に、パソコンが落ちて、マウスを投げつける白熊さんがいましたが、それは些細なことなのです。

 小白熊さんにも寿命があります。いつかは白熊さんとお別れしなくてはなりません。白熊さんは、小白熊さんにありがとうと手を振りました。
 その後ろには、新しい小白熊さんが控えています。ばーじょんあっぷで、ぱわーあっぷです。でも、所詮小白熊さん。きっとまた肉球のついた、変なファイルを残していくのでしょう。ふふふと笑って、白熊さんは肉球のついた手で、小白熊さんに電源を入れました。

おしまい



 某所で書いた小説をこちらにも転載。
 今の小白熊さんは多分に64匹か128匹。